となりのしばふ

日々の記録と内省と

雑記210823

盆が過ぎてからいきなり涼しくなった。涼しくなったと言っても昼間は30℃前後になるから、熱されたアスファルトや地表の熱気で夜は寝苦しくて、まだ冷房の世話になっている。ただ肌寒さで起きる朝が増えた。盆前に田んぼの稲の穂が顔を出したと思ったら、いつの間にか黄金色になって重そうに垂れ下がっている。昨今の情勢で花火大会もなく里帰りもなく、殺人的な日差しと気温にただただ辟易とした今年の夏も、確実に終わりが近付いている。

春から秋にかけてが繁忙期という職種で働いていて、夏はもちろん忙しいのだけれど、今年はどういうわけだか閑古鳥が鳴いている。おかげで7月頃にいつものやり慣れた業務から外れて、新規業務を割り当てられた。その結果、会社自体は決して忙しくないのに、トライアンドエラーアンドエラーアンドエラーで私がひとりでてんやわんやする面白くない日々が続いている。

この辺りで自分の機嫌をとってやった方が良いなと感じていた先週末、一日しかない休みに車で一時間かけて隣の市にフルーツサンドを買いに行った。インスタのいわゆる「映え」から火がついて有名になった目的のフルーツサンドは、小さな果物屋がつくって直営で販売しているもので、果物が大きくてみずみずしくて味が濃い。数カ月前に友人に連れてきてもらって以来、私はこのフルーツサンドの虜で、決して近くない果物屋に月一くらいの頻度で通っている。店から2区画ほど離れた駐車場に車を停め、営業していない店の方が多い商店街をてくてく通り抜けてどり着いた店頭で、運良く残っていた桃とマンゴーを買った。果物は種類に因らずすべて好きに分類されると思っていたのに、ここに来るようになってから桃やマンゴーのようなとろりとした甘い果肉の果物が特に好きだということに気付いた。果物屋の店主が毎日食べ頃の果物を選んでつくってくれるフルーツサンドは、何を食べても完熟していてとにかく甘い。食べ進めると溢れた果汁が薄い食パンにしみこんで、それもまたおいしくてうれしい。家で食べるときは包丁で三等分に切って皿に移すのだけど、家に帰る車の中で袋を剝いだまま口いっぱいにかぶりつくのが好き。

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これのおかげで少なくとも今週いっぱいくらいは数ミリのやる気が出る。社外折衝は相変わらず嫌いだけど、フルーツサンドを食べたし働くか、みたいな。やる気ではないな、幸せの前借りによる比較的前向きな諦観。単純な人間でよかった。

果物屋の店頭でシャインマスカットとナガノパープルが並んでいるのを見て、夏の終わりどころか秋がそこまでやって来ているのを感じた。どんなに仕事が忙しくても、気候から、通勤中の風景から、スーパーに並ぶ野菜や果物から、季節が移るのを感じ取れる程度の余裕は常に残しておきたいと思う。